人間が生まれてから亡くなるまでに必要な医療費のことを、「生涯医療費」と呼ぶ。
厚生労働省によると、令和3年の生涯医療費は男性が約2700万円、女性が約2900万円との統計データが公表された。
特に女性の生涯医療費は20歳から次第に高くなり、70歳以上になるとさらに高くなり80歳から84歳でピークを迎える。
若いうちから医療費が増加傾向にあるのは、まず妊娠・出産に費用がかかるからだと考えられるだろう。
また、70歳以上が高くなっているのは死亡までの医療費の合算であり、女性の方が平均寿命が長く費用がかかるためだ。
2000万以上かかる生涯医療費は、その約半分が70歳以上で必要となる。
理由の1つは、高齢者はがんや心疾患のほか、脳梗塞などの脳血管疾患にかかりやすく、治療費や入院費がかさむためだ。
そして、受診率の高さも理由に挙げられるだろう。
若者に比べて、高齢者の入院割合も外来診察割合も倍以上と受診率に差があり、必要な医療費が高くなるのだ。
ただし、この2000万円以上という生涯医療費は、そのまますべて自己負担するわけではない。
医療保険から7割から9割支払われるほか、自己負担分も高額療養費制度が適用されるため、実際に支払う金額はもっと少ない。
公的医療保険の加入者なら、未就学児は2割、小学生から69歳までは3割、70歳から74歳までは原則2割、75歳以上は原則1割を負担する。
70歳以上で現役並みの所得者は、3割を自己負担しなければならない。
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